全般不安症
全般不安症とは
この疾患は言葉の通り、全般的で継続的な不安を生じる状態です。
漠然としたさまざまなことが不安の対象になります。
さらに不安感が身体症状となり、手指のふるえ、発汗、動悸、不眠などが起きるとともに、漠然とした不安と身体症状に支配された状態になりますので、二次的に思考機能が低下することもあります。
診断と治療
医師は症状をある程度把握するために、全般的な問診をします。不安な状態は統合失調症、うつ病をはじめ、どのような精神疾患でも生じます。また、身体疾患でも生じます。それらを鑑別する必要があります。身体症状については、内科などの身体科への受診をお勧めします。
不安に支配されて、個人的な機能が低下しますと、同時に思考機能も低下することになりますので、就業そのものが困難になったり、就業の負荷に持ちこたえることが困難になったりします。その場合、状態の改善のためには、職場での負荷軽減や休業が必要になります。
薬物療法
主に、SSRI、SNRIというような薬物を用います。焦燥感が著しければ、気分調整薬や抗精神病薬を用います。不安が著しい場合にも抗精神病薬を用います。
全般不安症の場合、不安傾向が慢性化して性格化(解説)してしまうこともあります。そのような場合、医師の診療の範囲では限界で、カウンセリングや心理療法を治療として併用することを提案します。当院では、ルーセントメンタルヘルスマネジメントをご案内させていただきます。
。性格化していない場合には、カウンセリングや心理療法がより有用です。そのような場合にも、ルーセントメンタルヘルスマネジメントをご案内いたします。
うつ病によってこのような状態が生じる場合もありますが、不安の憎悪によって、うつ病を合併される場合もあります。合併によって状態のコントロールが困難である場合には、入院加療をご提案する場合もあります。
- (解説)性格(character)、人格(personality)
- 性格と人格とは、ほぼ同じ意味で用いられています。けれども、日本語の人格という言葉は文字通り、人の格を示す意味があるため、あえて「パーソナリティ」と記すことが多いように思います。例えば、ある種のパーソナリティの特性やパーソナリティに特定の弱点を持つ場合をパーソナリティ障害と言います。それを人格障害と言いますと、日本語のニュアンスとして、人の格に問題がある人、人として格が下である人というように感じられて誤解を招いています。
パーソナリティ・性格の形成は、その人が持って生まれた気質が、家族環境や教育などで後天的に獲得された習慣、その人がとってきた役割などの影響を受けて形成されます。人は生まれた時から、育つ家庭環境や文化、教育、しつけなどをはじめとして、終わることのない不安や内的な葛藤に刺激を受けながら、発達・成長し、自身の性格を形成していきます。性格形成は、その人自身が葛藤解決や不安への対応のために習慣的にとってきた態度と言えるのです。例えば、全般不安症として生じる不安への対応が慢性化すると、その不安への対応の仕方が習慣化し、性格に組み込まれてしまうのです。
リワークセンターでは、全般不安症そのものを改善させることはできません。ただし、その状態によって休業されて、状態が改善し、復職ができそうかどうかを試すために利用される方はいらっしゃいます。