まず、うつ病のメカニズムについて少し説明しますと、典型的なうつ病というのはセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質(注1)が減ることで発症します。例えばセロトニンが減ると不安感や落ち込みが強くなり、ノルアドレナリンが減ると意欲・気力の低下につながります。風邪でいうなら、免疫細胞が減って発症するのと似ているかもしれませんね。
残念ながら神経伝達物質は本人の意思で生成することができません。そこで、抗うつ剤を使って、セロトニンやノルアドレナリンの減少を防ぎます。じつは抗うつ剤のメカニズムは厳密に解明されていないのですが、レセプター(受容体)をブロックして、細胞内に再び回収される「再取り込み」を防止することで、分泌する量を増やして症状を緩和します。
- 注1…身体の中で情報を伝えるために神経(シナプス)間で送られる電気信号のこと。