舟橋私たちが治療を行っている「心の病気」ですが、私の印象では最近は統合失調症がすごく減ってきて、発達障害が増えていると感じています。また、昔は“気分障害”とひとくくりにしていた概念が無くなってきて、“双極性障害”と“うつ病”に分かれています。岩田先生は、これから「心の病気」は、どういった疾患が増えていくとお考えでしょうか?
岩田厚生労働省の統計を見ると、実は統合失調症も減ってはいないですね。平成26年の統計では統合失調症の患者数は77万人ぐらいで、平成11年は66万人でしたから、増えているのが現実です。しかし、私の印象で言うと、病院で長期入院する方や急性期で非常に困る患者さんは明らかに減ってきたと思っています。おそらくは、精神科のクリニックが増えていて、かなり早い症状の段階で対応しているから重症化する人が減っているのでしょう。